尾崎豊は、なぜ盗んだバイクで走り出したのか?


目次
夢を捨てろという「大人たち」への反発
尾崎豊さんのホロスコープを読んでいきます。

尾崎豊さんが「盗んだバイクで走り出す」と歌ったとき、
それは単なる若者の反抗じゃなくて。そこには魂の叫びと、自由を求める切実な衝動がありました。
彼のホロスコープを見ると、その背景が驚くほど克明に浮かび上がっているんです。
☀️ 太陽と水星 in いて座(1ハウス)── 「僕が僕であるために」
まず注目すべきは、太陽と水星がともにいて座、しかも1ハウスという「自我」「アイデンティティ」の部屋に位置していること。
これは、「自分の信じる理想に向かって、自由に生きたい」という根源的な欲求です。
いて座は哲学や真理、そして旅を象徴する星座。彼にとって「生きる」とは、自らの信念を見つけ、それを表現することだった。それが音楽であり、言葉であり、ステージだったのでしょう。
・・さらに、
🌙 月 in 水瓶座(3ハウス)── 理想を語り、仲間を求める心
一方で、彼の月はみずがめ座にあり、3ハウスという「言語」「仲間」「環境」の領域に位置しています。
この配置は、感情面での独立心と、既存の常識や権威に対する反発心を持つことを示しています。
月が水瓶座にある人は、「常識に縛られず、自分らしい関係性のあり方を求める」傾向がある。
つまり尾崎さんは、月が3ハウスにあることで、それは言葉になり、表現となるわけです。
🪐 土星 in 魚座(4ハウス)── 家庭や学校という「重荷」
しかし、それらの自由な衝動に対して、重くのしかかる存在があります。
それが4ハウスに位置する土星、そしてこの土星が、太陽・水星に対して90度(スクエア)をとっていますね。
4ハウスは「家庭」や「心の土台」「所属場所」を象徴します。
つまり家や学校、地元といった環境は、彼にとって制限や抑圧の象徴だったのです。
この4ハウスの土星によって、尾崎は自分の考えや(射手座の水星)や生き方(太陽)を否定され、制限される感覚を常に抱えていたことがうかがえますね。
「大人たちは夢を捨てろ捨てろというが、俺は嫌なのさ…」
・・他にも尾崎さんは、学校や家をまるで監獄かのように歌っています。
尾崎豊さんにとって、「大人」とは、自分の思想や夢を踏みにじる存在だった。
彼の歌には、その痛みと怒り、そしてそれでもなお「自由を叫ぶ勇気」が込められているのです。
「盗んだバイクで走り出す」は、魂の脱出行だった
だからこそ、彼が歌う「盗んだバイクで走り出す」は、単なる非行や若気の至りじゃなくて、
それは、魂が自由を求めて檻から逃げ出す瞬間の象徴です。
そんな中で彼は、歌というバイクにまたがり、走り出したのです!
爆発する魂の叫び ── 10ハウスの冥王星・天王星の合と水星のスクエア
尾崎豊さんのアセンダント(Asc)はさそり座。
つまりこの人物の表現スタイルや外的印象は、濃密で真剣、情念的、そして一切の妥協を許さない極端さを持っています。
このアセンダントの支配星(チャートルーラー)は、冥王星。そしてその冥王星は10ハウスにあり、社会的活動・キャリアのハウスで天王星とぴったりとコンジャンクションしているんです。
これは尾崎豊が、単なるアーティストではなく、社会に対して「革命的な問いかけ」や「価値観の破壊と再構築」をもたらす存在として生きる運命を持っていたことを示唆します。
冥王星・天王星が生み出す爆発的エネルギー
そして、この冥王星・天王星コンビは、射手座の1ハウスにある水星とスクエア(90度)の緊張関係を持っている。ここに現れるのは、言葉(歌詞)への破壊衝動と創造衝動の交錯だ。
- 冥王星×水星:強烈な精神集中力。言葉の裏にある真実を抉り出そうとする性質。これはまさに尾崎の「歌詞」が、ただの恋愛や日常の描写を超えて、魂の痛みや社会の矛盾を暴き出していたことと合致。
- 天王星×水星:突発的なインスピレーション。型破りな発言。思考や表現における反体制性。これは、尾崎が時に教師や社会構造、大人への怒りを吐き出すような言葉を選んだ背景を物語っている。
このスクエアは、「思考と思考のはざまで、爆発しそうになる精神」を意味しているんです。
彼の詩がときに破壊的で、ときに希望に満ちていたのは、まさにこの「混沌の中にある真理」をつかもうとする葛藤があったからではないでしょうか?
尾崎の音楽性の源泉はどこにあるのか?
① 金星・火星 in 山羊座(2ハウス)
占星術において、2ハウスは才能を表す場所ですね。
尾崎の2ハウスには火星と金星があります。
火星は情熱、金星はメロディーなどのセンス。それは2ハウスで音楽の才能として発揮されたのです。
また彼の2ハウスは、やぎ座という「現実主義・社会構造の中での上昇志向」のサインであることから、彼の音楽は決して抽象的な夢想では終わらず、現実世界にメッセージとしてぶつける鋭さを持っていたのです。
(さらに、やぎ座の火星は自己鍛錬や耐久性に長けており、病気や困難の中でも音楽を通じて自己を表現し続ける姿勢も読み取れます)
② 金星と海王星のセクスタイル(60度)
金星は海王星とセクスタイル(60度)。
この配置により、尾崎の歌には、詩的な感性、美的直感、夢見る力が美しく表現に宿っています。
また、海王星は12ハウス、すなわち「無意識・集合的無意識・幻想・神秘」の領域。彼の音楽が、単なる自己表現ではなく、同世代の感情を代弁するような集合的カタルシスになり得たことを象徴しています。
③ 10ハウスの天王星と冥王星のコンジャンクション
そして繰り返しになりますが、尾崎豊さんの10ハウスには、冥王星と天王星がコンジャンクションしていること。
これは彼が、社会に対して「革命的な問いかけ」や「価値観の破壊と再構築」をもたらす宿命を背負っていたことを表していて、
それが音楽性としても表れているのです。 だからこそあれほど人々が熱狂し、尾崎豊は伝説的な存在になったのかもしれませんね。
「盗んだバイク」はどこへ向かっていたのか
尾崎豊が「盗んだバイクで走り出す」のは、ただの反抗や逃避じゃなかった。
それは彼の意志を、集団の中で見失わないための魂の絶叫であり、言葉と音に乗せて社会へ殴りかかった彼なりの“革命”だったんだ。
彼はこう歌っている
「僕が僕であるために勝ち続けなきゃならない」
1ハウスの太陽を輝かせるために、
つまり僕が僕であるために、
4ハウスの土星に「帰属」を拒否され続けた少年は、
自らの存在を「音」に変えて走り出した。
そして天王星と冥王星が重なる10ハウスを生き抜いた。
「ひとつだけ解っていたこと それはこの支配からの卒業」
支配とは、社会のことか。
それとも、内なる恐れや孤独のことだったのか。
尾崎豊の旅は、破壊という名の祈りであり、再生という名の孤独だった。
そして卒業は終わりではなく、誰にも見えない「始まり」だったのかもしれない・・
彼のホロスコープをみていると、そんなふうに感じるのです。
参考記事: