松村潔先生がよくいう「シュタイナーの12感覚」の誤解


目次
12感覚x12星座の対応は、松村潔さんのオリジナル
僕は、西洋占星術の多くの知識を松村潔さんの本で学びました。
彼は、20年以上前から言ってることがブレてなくて、分厚い辞書みたいな本もいっぱい書いてる。
とくに松村さんの占星術の解説って、他の誰よりも面白いなぁと感じるんですよね。
・・ただオカルト的な知識とかを引用したり、持論を展開するので、
彼の著書を読んでいると、たまに頭が????になることが多い!?
その松村潔さんがよく出すのがシュタイナーの「12感覚」というやつ。
彼はシュタイナー思想に深い関心を持ち、独自の視点で占星術に統合しているんですよね。
・・ところで、シュタイナー自身は12感覚と12星座を対応させていません。
12感覚と12星座を対応させる試みは、松村潔さんの完全オリジナルなんです。
なので、松村さんの著書などで、「てんびん座は触覚に対応しています」といった記述があっても、シュタイナーがそう定義したと誤解しないようにしましょう
さてさて、それではこの機に、シュタイナーの12感覚について整理していきましょう。
松村潔さんの著書で、占星術を学ぶ人の参考になればと思います。
人智学とかシュタイナーって?

ルドルフ・シュタイナー(1861–1925)はオーストリア出身の思想家・神秘哲学者。
彼が築いた思想体系は「人智学(アントロポゾフィー)」って呼ばれている。
この学問は、「人間とは何か?」「宇宙との関係とは?」を探る霊的な科学で、
教育(ワルドルフ教育)、農業(バイオダイナミック農法)、医学(アントロポゾフィー医学)など、いろんなところで応用されてる。
シュタイナーにとって人間っていうのは、単なる肉体を超えた霊的存在であり、宇宙の構造と照応しながら進化する存在だった。
(彼の思想の根底には、「宇宙(マクロコスモス)と人間(ミクロコスモス)は相似形である」という前提があるのです)

占星術師Yoda
僕の知人に、日本でシュタイナーの考えに基づく教育機関の校長先生だった人がいます。
シュタイナーの「12感覚」とは?
さて、ふつう感覚といえば、五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)ですよね。
でもシュタイナーは、これでは不十分だと考えた。
五感に、熱感覚・運動感覚・平衡感覚・生命感覚・言語感覚・思考感覚・自我感覚 の7つ加えた12感覚を提唱したんです。
今回は、そんなルドルフ・シュタイナーによる「12感覚」の世界を占星術的視点から読み解いてみよう。
現代人が一般に認識している「五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)」は、シュタイナーにとってはごく一部でしかない。彼は、人間には以下のような12の感覚があると説きました:

占星術師Yoda
人間には視覚や聴覚だけでなく、身体や心、他者との関係を感じ取る多様な「感覚」があると考えたんだね。
感覚カテゴリ | 感覚名 | 説明 |
---|---|---|
身体に関する感覚(下位感覚) | 触覚 | 物質との境界を感じる |
生命感覚 | 体調や生命状態を感じる | |
運動感覚 | 自分の動きを知覚する | |
平衡感覚 | 姿勢やバランスを感じ取る | |
外界に関する感覚(中位感覚) | 嗅覚 | 空間や物質の性質を感じる |
味覚 | 物質の内的性質を味わう | |
視覚 | 光や形を知覚する | |
温感覚 | 温度、熱の存在を感じる | |
人間存在に関する感覚(上位感覚) | 聴覚 | 音や声に宿る意志を感じる |
言語感覚 | 言葉の意味・表現を感じる | |
思考感覚 | 他者の考えを直感的に捉える | |
自我感覚 | “自己”そのものを感じる |
これらの感覚は、単なる知覚以上のものがある。
たとえば「思考感覚」や「自我感覚」は、他者の存在を感じとる、いわば "霊的な感受性" とも言える。

占星術師Yoda
人間を社会的・精神的存在として捉える上で、こうした感覚が不可欠だとシュタイナーは考えたんだ。
シュタイナーの12感覚を12星座に対応させてみる
最初に書きましたが、シュタイナー自身は、12星座と12感覚を、明示的に対応づけていません。
・・というか、海外でも12感覚と12星座を対応させる試みは少ないのです。
松村潔さんの12感覚=12星座対応は完全に彼独自のものです。
そのことを踏まえた上で、以下の表を見てみましょう。
松村潔さんによる「12星座 × 12感覚」対応表
星座 | 対応する感覚(例) | キーワード |
---|---|---|
おひつじ座 | 自我感覚 | 自分と他者の間にある“意志” |
おうし座 | 思考感覚 | 沈思黙考、自分の内に思考を引き出す |
ふたご座 | 言語感覚 | 思考を言葉で表現し、コミュニケーションする感覚 |
かに座 | 聴覚 | 共鳴するハーモニー、感情の響きを聴く感受性 |
しし座 | 熱感覚 | 個性としての熱、内なるエネルギーを感じる感覚 |
おとめ座 | 視覚 | 対象を細やかに観察し、整理して理解する感覚 |
てんびん座 | 触覚 | 他者や世界との手応えを通じて理解する感覚 |
さそり座 | 生命感覚 | 朝起きたときの生命力、深く生命を感じる感覚 |
いて座 | 運動感覚 | 意図に向かって自ら動く、未来を予測する感覚 |
やぎ座 | 平衡感覚 | 社会の中で安定して立つ、重力や場の中でバランスを取る感覚 |
みずがめ座 | 嗅覚 | 「臭い」を嗅ぎ取る直感、真偽や不調和を見抜く感受性 |
うお座 | 味覚 | 世界と一体化する感覚、対象の境界を越えて味わう深い感受性 |
💬 補足メモ:感覚の意味と占星術の象徴は厳密に一致するわけではありません。
シュタイナーの定義では、霊的認識論としての人間理解に基づいていますが、松村潔さんはその構造を星座の象徴言語に翻訳して、「心理的・象徴的に感覚を再配置」しているからです。
Yodaによる「12星座 × 12感覚」対応表
松村さんの対応表に、違和感を感じました
おうし座がなぜ思考感覚なんだろう? とか、
てんびん座がなぜ触覚なのだろう? とか。
ぼくは、
①おうし座が触覚、
②てんびん座が平衡感覚、
③やぎ座が思考感覚
・・に対応させると、よりシックリくるなと感じます。
以下は、Yodaによる修正版、シュタイナー12感覚と12星座対応表です
(おうし座、てんびん座、やぎ座の対応が変わっています)
星座 | 対応する感覚 | キーワード |
---|---|---|
おひつじ座 | 自我感覚 | 私はここにいる、という存在の衝動 |
おうし座 | 触覚 | 触れることで現実を知り、世界に根を下ろす感覚 |
ふたご座 | 言語感覚 | ことばによって自他を橋渡しする感性 |
かに座 | 聴覚 | 音や声に宿るぬくもりや感情を受け取る感覚 |
しし座 | 熱感覚 | 内なる炎を灯し、自らの存在を燃やして生きる |
おとめ座 | 視覚 | 細部を通して真実を読み取る鋭さと繊細さ |
てんびん座 | 平衡感覚 | 他者と世界の間で美しく均衡を保とうとする力 |
さそり座 | 生命感覚 | 表層の奥にある、命の気配を嗅ぎ取る感性 |
いて座 | 運動感覚 | 動くことで未来へとつながっていく直感的な跳躍 |
やぎ座 | 思考感覚 | 思考で「世界の骨組み」を描く知の構築者 |
みずがめ座 | 嗅覚 | 目に見えない違和感や真実の兆しをかぎ分ける感覚 |
うお座 | 味覚 | 自他の境界を越え、体験全体を“味わい尽くす”共感力 |
正解はない。星座について考えるキッカケになればいい
シュタイナーの12感覚と、12星座の対応に、正解はありません。
・・というか、そもそもシュタイナーの12感覚と12星座を対応させることは無理があるのです。
でも対応を試みることには面白いし、星座の理解をより深めるトレーニングになると思っています。
👉 みずがめ座はなぜ臭覚なの?
例えば、みずがめ座には”直感”という象意がありますが、
これが”臭覚”と結びつく理由を考えてみましょう。
日本語には「なにか匂うぞ」「ビジネスの鼻がきく」「危険を嗅ぎ分ける」など、嗅覚を直感的な洞察力に結びつける表現が多く存在します。
これは何か漠然と感じ取る力として、嗅覚っていうものが重視されているわけです。
だから臭覚が、みずがめ座のような未来感覚・直感・先見性とつながっていると解釈するのは、日本語の文脈では自然ですよね。
・・じつは英語でも、嗅覚を「直感的知覚」と結びつける表現は存在します。
- "I smell something fishy."(何か怪しいぞ)
→ 「匂う」という表現が、何かがおかしいという“直感的判断”を示している。 - "He has a good nose for business."(彼はビジネスの嗅覚が鋭い)
→ 「nose(鼻)」が比喩的に洞察力や直感力の象徴として使われる。 - "She can sniff out a lie from a mile away."(彼女は嘘をすぐに嗅ぎつける)
→ ここでも「sniff(嗅ぐ)」が鋭い直感の象徴として使われる。
・・ということは、臭覚と、直感には、なにか普遍的なつながりがあるのかもしれないですね。
そんなことを考えると楽しいです^^
あぁ、でもシュタイナーは、嗅覚は「物質の境界や存在の“背後”にあるものを知るための感覚」とも考えていたから、
そうすると、みずがめ座より、さそり座っぽいな… とか。 考え出すとキリがないですが(笑)

占星術師Yoda
12感覚をあなたの星座にあてはめると、どう感じるかな? 自分だけの“星と感覚の地図”をつくってみても面白いかもね!
参考記事: