「占星術は技法の迷宮じゃない」とノエル・ティルは言った


目次
心理占星術家、ノエル・ティルはどんな人?

クォッカちゃん
ノエル・ティルは心理占星術の大家だよね♪

占星術師Yoda
そう。元々は声楽家だったけど、占星術師に転向して「心理占星術」に大きく貢献した人。
元々はバリトン歌手だった
ノエル・ティルは元々は、声楽家(オペラ歌手)だった人なんですよね。
バリトン歌手として、20世紀半ばにオペラやリサイタルで活動していたのだけど、
その芸術的な訓練と表現力が、後の占星術活動にも強く影響を与えたと言われています。

占星術師への転向
ノエル・ティルは、声楽活動の傍らで占星術に興味を持ち始めて、やがて本格的に研究・実践するようになります。
彼のアプローチは、心理学(特にユング心理学)と深く結びついいて、声楽で培った「表現」とか「人格の奥行き」に対する理解が、占星術的な人格分析へと繋がっていきました。
ノエル・ティルの心理占星術は、「占い」よりも「人間理解と成長のツール」として占星術を再構築したアプローチです。その本質は、心理学・象徴・時間的変化を有機的に統合し、「人はどう生きるか」を支援することにあります。
ノエル・ティルの言葉
ノエル・ティル氏にはこんな言葉があります。
「占星術は技法の迷宮ではない。人と向き合うための架け橋なのだ」
“We must never get lost in technique. Astrology is not about impressing someone with complexity, it is about meeting a human being where they are.”
「カンタン=浅いリーディング」ではないし、「複雑=深いリーディング」というわけでもない。
ホロスコープリーディングというのは、象徴を複雑に重ねれば良いわけじゃない。
むしろ「最小限の構造から人間の本質に迫る」ことが大切だと、ティルは言う。
その姿勢こそが、占星術を“真に人のために使う”という事なのでしょう。
ノエルティルのリーディングからわかるのは、
「シンプルで、深い」
──これこそが占星術の成熟した姿だということです。

占星術師Yoda
つまり「伝わる言葉で、届くこと」が何より大切なんだろうね。
ノエル・ティルの心理占星術の特徴

クォッカちゃん
彼の占星術についてもっと知りたいな♪

占星術師Yoda
彼の心理占星術の5つのポイントを説明していくよ。
1. 心理学との統合(特にユング心理学)
ティルの占星術は、星の意味を「象徴」として捉え、個人の内面世界・無意識・成長課題と強く結びつけます。
彼はユング心理学に影響を受けていて、「ホロスコープは心の構造図である」と考えた。だから象徴と投影の関係性を重視したんだ。
2. 動機と社会的達成に焦点
ティルは、ホロスコープを通じて「その人が何を望み、何を恐れ、どこへ向かっているか(社会的目標)」を明らかにしようとします。
これは、単なる性格判断じゃなくて、「人生の構造と発展方向」を見る手法です。
3. 中天(MC)と職業的アイデンティティ
ティルは中天(MC)を非常に重視し、その人の社会的使命や職業的テーマをここから読み解きます。
またMCに関わる惑星やハウス支配星の絡みから、キャリアの方向性を詳細に分析します。
4. ソーラーアーク法を中核にした予測
未来予測では「ソーラーアーク」を主要技法とし、トランジットよりも重視します。
この技法は内的な成熟とタイミングを明確に示すとして、心理的成長と時期を結びつけます。
5. カウンセリング重視の実践姿勢
ティルは「占星術師=心理カウンセラー」としての役割を強調しているんです。
そしてクライアントの人格を統合へと導く支援を重視します。診断ではなく共感を通じて、クライアントとともに解決策を見出す姿勢を持っていました。
🔸 ティル心理占星術の主な特徴
項目 | 従来の西洋占星術 | ティル心理占星術 |
---|---|---|
星の捉え方 | 吉凶的、定型的な象徴解釈 | 象徴と心理構造の投影として動的に捉える |
中心技法 | トランジット・プログレス | ソーラーアーク+MCの動機分析 |
クライアントの位置 | 受動的(「当てられる」側) | 能動的(自己理解と成長に参加する) |
アプローチ | 当てることを重視 | 対話と統合を重視 |
成長観 | あまり重視しない傾向 | 人格の発達と変容が主軸 |

クォッカちゃん
つまりノエル・ティルの心理占星術って「占い」よりも「人間理解と成長支援のツール」なんだね♪

占星術師Yoda
うん。彼の占星術は「人はどう生きるか」を支援することにあったんだ。
日本で心理占星術や自己探求型の占星術を求める人にとって、ティルの体系は非常に深い洞察とヒントを与えるものになるでしょう。
”技法の迷宮”にしない、ホロスコープ3点読み
ティルは「ホロスコープは複雑に見るよりも、構造を正確に掴むことが大切」と語っていました。
実際、彼のセッションでは MC・月・土星の三点を起点にして、その人の「動機・反応・ブレーキ」を明確に描き出していくアプローチが基本でした。

占星術師Yoda
ぼく自身もこの考えにすごく共感していて、あえて「MC、月、土星だけで30分語れるか?」といった“縛り練習”をしてみることがあります。
複雑な象徴をたくさん使わなくても、人の核となる構造は、シンプルな組み合わせの中にすでに現れている──そんな実感が得られるんです。
💡 MC、月、土星から、人生構造をみる
- MC =「その人が人生で目指す“社会的役割”」
- 月 =「情緒的なクセ・安心の取り方」
- 土星 =「恐れ・自己制限・防衛のクセ」
この3点をつなぐと、「動機 → 反応 → ブレーキ」という人生構造の骨格が見えてきます。

占星術師Yoda
たくさんの情報を広げるより、この3つの象徴だけを使って1本の道をたどる方が“その人自身”に近づける。
🔶 具体例①:情報発信者Hさん
- MC:しし座
- 月:おとめ座/10ハウス
- 土星:しし座/9ハウス
◆ 動機(MC)
しし座のMCは、「自分らしさを表現し、注目されること」を人生目標にしやすい配置です。
ただしそれは単なる目立ちたがりではなく、「誇りを持てる自己像で社会に立ちたい」という意志。
→ 「自分で自分を誇れる肩書・役割」を探している可能性が高いです。
◆ 反応(月)
月はおとめ座、しかも10ハウス。
これは「感情的に、きちんとやらねば」「評価されるべきだ」「細部まで整えたい」と感じる性格傾向。
→ 承認と秩序に安心を求めるタイプで、外的評価への敏感さがあります。
おとめ座×10Hの月は「完璧でないと不安」→しし座的表現を“慎重化”する傾向あり。
◆ ブレーキ(土星)
土星もしし座・9ハウス。
→ 自分の信念・理想・哲学を外に出すことに抑圧・不安を感じる構造。
特に「これを言って笑われたら?」「自分の考えは未熟では?」と感じやすい。
MCもしし座なので、“表現したい自分”と“表現することへの不安”が同時に存在します。
・・・つまりHさんは、
✨「注目されることを怖れながらも、それを求めている」
✨「評価されたいけど、自分を出すとき完璧を求めて止まりがち」
→ このように、“自己表現への葛藤”が人生の構造に組み込まれている人と読めるわけですね。
🔶 具体例②:起業家Tさん
- MC:おひつじ座
- 月:しし座/1ハウス
- 土星:ふたご座/11ハウス
◆ 動機(MC)
おひつじ座のMCは、「先駆者になりたい」「他人より先に進みたい」「勝負に出たい」という動機。
社会的には「自分発信で道を切り拓くこと」が目的になります。
→ リーダーシップ・自己決定・能動性がテーマ。
◆ 反応(月)
月はしし座、しかも1ハウス。
→ 感情的にも「自分を見てほしい」「特別でありたい」「注目に反応しやすい」。
しかも1ハウス=それが表情・印象・態度に自然に出る。
→ この人の素の反応は「堂々としていたい」し「目立っていたい」。
◆ ブレーキ(土星)
土星はふたご座11ハウス。
→ 社会集団・ネットワーク・友人との関係に緊張を持ちやすい。
「仲間と自由に語る」ことへのぎこちなさ・自分の意見を伝える不安。
→ 「何をどう言えば受け入れられる?」と悩む傾向。
これはリーダー的な衝動(MC・月)と、“横の関係での自信のなさ”が対立している構造です。
・・・つまりTさんは、
✨「人前では堂々とふるまえるが、仲間うちでは意外と不安」
✨「行動力はあるが、共感性と“空気を読む”部分でブレーキがかかる」
→ “強さと孤立への怖れ”を同時に抱えたリーダー型と読めるわけです。
さて──じつは、このHさんとTさんの正体は…
…ここまで読んでくださった方に、ちょっと種明かしです。
じつはこの「Hさん」は、あの2ちゃんねる創始者のひろゆきさん、
そして「Tさん」は、起業家・実業家として著名なホリエモン(堀江貴文さん)なんです。

クォッカちゃん
えーっ!?なるほど、確かにそれっぽい感じするかも…!
MC、月、土星のたった3点だけでも──
その人の人生の構造や性格の“核”がしっかりと現れてくること、感じられたでしょうか?
今回のように、たった3点でもここまで見えることを体感すれば、
「複雑な技法を重ねないと深く読めない」という思い込みが少し変わるかもしれません。
あなたもぜひ、MC・月・土星だけの“3点読み”で、
ご自身や身近な人の人生の構造を探ってみてください。
シンプルな読みが、かえって本質に近づく。
ノエル・ティルの心理占星術は、そんなリーディングを私たちに教えてくれます。

占星術師Yoda
複雑な技法を重ねなくても、人の“生き方の軸”は見えてくる。それを伝えてくれるのが、ノエル・ティルの心理占星術なんだ。
次回は、ノエル・ティルっぽいホロスコープ・リーディングの実践法と対話技法を紹介していきます。
参考記事: